「イチ、集中力足りないぞ?」


清水エスパルス練習グラウンド。
パスミスを連発し何度もボールにぶつかりそうになる
市川大祐に森岡隆三は言った。
その注意すらマトモに聞いていない大祐。

「へ?あ、呼びましたか?」

「お前なぁ・・・」

呆れすぎて溜息も出ない。
そう言っている間にも大祐は指を数えて何か考えている。
しかし急に隆三の肩を掴んだ。

「あの!!」

「なっ何だ・・・?」


「今日何時に練習終わりますかね!!?」


果たして本当にJリーガーの台詞なのだろうか。



「・・・あと2時間。」








「よーし、じゃあ今日はコレで終わり。
明日移動だから早めに集まれよ?」


隆三が言って練習を切り上げる。
大祐はゼッケンを急いで脱ぐと走って控え室に戻って行った。


「お先に失礼します!!お疲れっした!!!」


そのすぐ1分後大祐の愛車のエンジン音が聞こえる。
隆三は首を傾げた。

「何なんだイチの奴・・・」

練習終了が近づくにつれどんどんソワソワしていく大祐。
隆三が喋っている時にはダッシュの準備をしていた程だ。
そこに戸田和幸が歩いて来る。

「あれ、イチもう帰ったんスか?」

「ああ、即行でな。」

「気合入ってんなぁ。」

「あいつ何であんなに急いでたんだ?」

「は!?知らないんスか?」

隆三の質問に知っているのが常識であるという風に和幸は返す。



「今日ちゃんの誕生日なんですよ。」



その一言で隆三は全てを理解した。
とは大祐の最愛の彼女。
現在が高校3年生で受験を控えている為
大祐は会うのを自粛しているらしいが、
1年前は自分が如何にに惚れているかを
毎日毎日隆三に聞かせていた。
そんな大祐にとって彼女の誕生日といえば一大事だろう。
隆三は頭を軽く掻く。



「惚れられる方も大変だな・・・」








「気合入れすぎたかな。」


大祐自宅。
今日の7時にが来る事になっているため
帰ってすぐ準備にとりかかる。
テーブルの上にはの好物が沢山並べられ
中央には明らかに2人では食べきれない巨大ケーキ。

「いや、でも今日位盛大にやんなきゃ。」

いつも勉強頑張っているのだから。
大祐は多分親よりも本人よりもの事を気にかけているだろう。
そして7時5分前。
部屋のチャイムが鳴る。
大祐は勢いよく玄関の扉を開けた。

「こんばんわ。」

!!久しぶり!!!」

そう言って抱きつく。
3日前に会ったばかりなのに。
はそう思っても大祐にとっては相当長い時間だったらしい。
これで自粛しているというんだから以前を考えたくない。

「まぁ入って、寒いだろうし。」

「お邪魔しますって・・・凄っ!!
コレ全部自分でやったの!??」

料理や部屋の飾り付けに目を見開く。
大祐はその反応に満足そう。

「今日ぐらい全部忘れて楽しんで貰おうと思って。」

「大祐・・・有難う!!」

この優しさがが大祐を好きになった理由。
照れ笑いする大祐。

「どうしたしまして。
さて、料理食べよっか。」

「うん!!」

あーんしてvvv」


・・・この後バカップル全開の為
一時間ほどカットさせて頂きます(爆)






「あー美味しかった。」

「マジ!?作った甲斐あったよ。
少しは癒してやれたかな?」

皿を片付けながら尋ねる大祐。

「元々そんなに根詰めて勉強してないから。
でも大祐のお陰で良い日になったよ♪」

笑顔で返す
そのの顔に大祐は真っ赤。
付き合って2年も経っているとは思えない。


「あ、あのさ、コレ・・・」


大祐は棚から小さな袋を取り出した。
首を傾げながら受け取る

「水晶のブレスレット!!」

「お守りなんだって。
京都に試合に行った時買ったんだ。」

「有難う!!受かる気がしてくるよー。」

「ちなみに俺もお揃い。」

既に腕につけたソレを見せる大祐。



にはずっと俺がついてるから。」



は頷く。


「あたしは大祐の試合を応援してるからね?」


「サンキュ。・・・誕生日おめでとう。
18歳になっても宜しくな!!」



「うん!!」




こうして大祐は試合で異常なやる気を出し、
隆三や和幸は改めて大祐の愛のパワーを思い知らされるのだった。




END?



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