Highest



「宏太君、手当てしないと!!」


試合終了後の万博記念競技場廊下。
新人医療スタッフの1人
相手との接触で負傷した吉原宏太に慌てて言った。
首筋から流れる鮮血を手袋で拭う宏太。

「・・・ええよ、こんなん大したことあらへんし。」

「でもっ。」

「もう放っといてくれへん?」

そう冷たく言ってロッカールームに入っていく。
今までは本当に自他共に認める仲の良さだったのに
最近いつもこのように宏太に素っ気無くされる。

「何か気に障ることしたんだろうなぁ…やっぱ。」

「?ちゃんどないした?」

溜息をつくに後ろから声をかけるのは宮本恒靖。
はゆっくりと首を横に振る。

「ツネさん。ううん、別に何でもない。」

「何でもないような顔なんかしとらんよ。」
俺で良かったら話聞くで?」

そう言うと恒靖はを誰もいない競技場に連れ出した。
2人でベンチに腰を下ろす。

「で、一体その暗い顔の理由は?」

「…最近宏太君あたしの事何か言ってない?」

「何かって?」

「腹立つことされたーとか愚痴みたいなの。」

「言うてないな。」

キッパリと即答。
そうかぁと俯くに恒靖は首を傾げる。

「宏太と何かあったん?」

「避けられてる気がするんだよね。
でも何でかが分からないから謝りようが・・・」

「身に覚えがないんやな?
んー・・・なら俺が聞いてみたるわ。」

「ホント?」

「丁度今日宏太が俺の家遊びに来る事になっとるし。」








「宏太。」

「ハイ?」


そして夜8時の恒靖自宅。
宏太は寝転んで雑誌に目を通している。
不機嫌な様子など少しも見られない。


ちゃんと喧嘩したん?」


簡潔に聞いてみる。
という単語に宏太の顔色が変わった。

「・・・してませんよ。」

「ならええんやけど。
ちゃんが宏太に避けられてるて落ち込んどったから。」

「えっ」

恒靖の目にはよりももっと辛そうな宏太が映っていた。

「やっぱ何かあるんやろ?」

「・・・・・」

「よう分からんけど俺としては早ぅ仲直りして欲しいな。」

頬を軽く掻きそう言う恒靖。
宏太は声を震わせる。

「喧嘩とか・・・そんなんちゃうんです。」

「?」

「俺が、俺が勝手に・・」








「俺が勝手に・・・何?」


翌日。
トレーニングルームで昨日の事をに話す。
不思議そうなに恒靖も首を傾げた。

「それが、その後宏太即行で帰ってしもてん。」

「意味分かんないよー…」

頭をグシャっと掻きむしる。
そして覚悟を決めたように立ち上がった。

「よし、直接聞いてくる!!
宏太君とこんな気まずいの嫌だもん!!」

恒靖に見送られは部屋を出た。
居場所が分からないので暫く屋内練習場を探し回る。
そしてロビーでは1人缶コーヒーを飲む宏太を見つけた。


「宏太君!!」


その声にビクっとする宏太。
歩いて来るを見ないようにしているようだ。

「なっ何やの?」

「あたし何か宏太君にしたかな?」

座る宏太の前に立ちはだかる。

「別に・・・何もしてへんよ。」

「嘘!!じゃあ何であたしの事避けるの!?」

「避けとらんよ・・・」

宏太は目を逸らす。
これ以上言っても無駄だ。
そう感じたはぎゅっと拳を握る。

「分かった、もういいよ。」

・・・?」

上目遣いで聞く宏太に
は大きく息を吐いて少し悲しそうな笑顔を浮かべた。



「これ以上宏太君に嫌われたくないもん。」



そしてごめんねと一言謝ると来た道を戻りだした。
しかしその瞬間後ろから宏太に抱きつかれる。

「ちがっ、違うねん。嫌ってなんかない!!」

「宏太・・・君?」

「そのままでええから聞いて?」

振り返ろうとするを止める。



――っ、俺これ以上とおったらあかんねん。」



半泣きしているような震えた声。

「話せば話す程の事どんどん好きんなって。
自分でも止められへん程になって・・・でもには彼氏おるから。」

「それで・・・避けてたの?」

の首に頷いた顎の感触が伝わってくる。
宏太は続けた。

「なのに今みたいな事言われたら・・・」



「俺、を離されへんようになってまう。」



を抱きしめる腕の力がますます強くなる。

「ここ数日と話さへんだけでおかしくなりそうやった。」

「宏太君・・・」




が・・・好きなんや。」




今にも消えそうな声でそう言う。
は宏太の腕から解放されるとすぐに振り向いた。



「あたしも宏太君の事好きだよ?」



目を見開く宏太。

「だって彼氏・・・」

「とっくに別れたよ。
あたしの好きな人はもうその人じゃないんだもん。」

ニコッと笑う。
宏太は全身の力が一気に抜けた。

「早ぅ言ってやー・・・」

「ビックリした?」

「アホ。俺がどんな想いでこんな決断したと思ってんねん。」

覗きこんで言うに宏太は充血した目で訴える。

「その決断あたしだって悲しかったんだからね?」

「俺はその100倍や。マジで。
でも・・・ええんよな?俺我慢せんでええんよな?」

「うん!!」

「ずっと言いたかった・・・」

「?」

「・・・っ!!」

宏太は幸せを噛み締めるようにもう一度を抱きしめた。




「あーもう大っ好きや!!」





END☆




ちょいとシリアスな感じに挑戦。
初宏太君夢ですv
ツネさん影薄っ!!(笑)
良かったら感想頂きたいです♪


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