「痛った・・・」


は頭を押さえて上半身を起こした。
今日はの誕生日。
彼氏である稲本潤一と久々のデートの待ち合わせだったはず。
歩道橋の上から潤一を見つけ手を振っていたはずだ。
しかし今自分がいるのは白いシーツの敷かれたベットの上。
大体の見当はつく。

「滑って落ちたんだなぁきっと。」

足元に注意していなかったのだろう。
自分の馬鹿さ加減にが呆れていると


「あ、目ぇ覚めたん?」


カーテンを開けて入って来たのは彼氏の潤一。
手には濡れたタオルを持っている。

「まだ寝とった方がええで?
たんこぶなら冷やしてれば治るやろうし。」

「アリガト。潤一ゴメンね?」

タオルを受け取り言う
潤一は目を見開く。


「何で俺の名前知ってんねん!??」


後ずさりする。
その反応に首を傾げる


「何冗談言ってんの?
っと、それより・・・・・・・・・コスプレ?」


学ラン姿の潤一に眉をひそめる。
潤一はベットの脇の椅子に腰掛けた。

「学生が学生服着て何処が悪いねん。」

「何が学生なんだ・・・か・・・」

言っている途中で目を擦る
そういえば潤一の髪が黒くて長い。
顔も心なしか幼い気がする。
の頭に奇妙な疑問が発生した。

「ちょっと聞くけど・・・今西暦何年?」

「は?1997年に決まっとるやん。
頭打っておかしくなったんとちゃう?」

「・・・・・」

「?どないしたん?」



「ええええええええぇぇぇぇぇぇええええ!!!???」



の頭の中は大パニック。
5年前といえば潤一は今のと同じ18歳。
まだ2人が出会っているはずもなく、
潤一がを知っている訳がない。
慌ててベットから逃亡しようとする。

「お邪魔しました!!!」

「あ、こら待ちぃて!!
まだ体調良くなってへんやろ??」

強い力で腕を引っ張られ元の場所に戻される。
よく考えてみれば此処が何処だかも分からないのに
飛び出しても仕方がないではないか。
はそれに気付き冷静になる。
そして改めて潤一を見た。

「あのさ・・・あんたが運んでくれたの?」

「え?あ、せやで。
学校の前で倒れてんねんもん驚いたわ。」

「マジで?それはご迷惑かけました。」

「そんなんええけど。
取り敢えず今早朝やし俺が練習来てて助かったな。」

「タイムスリップとかって現実にあるんだ・・・」

「は?」

ボソッと言うに潤一が首を傾げる。
そして


「そういえば何で俺の名前・・・」

「あ。」

は名前を読んでしまった事を思い出した。
必死に誤魔化そうと考える。

「え、えと・・・あ、そう!!
似てる人と勘違いしたみたい!!気にしないで?」

「似とる人?
名前も同じなんて偶然やなー。」

「そっそうだね。」

作り笑顔で対応。
そして溜息を付く。

「最っ悪な誕生日・・・」

「ん?今日誕生日なん?」

「あーうん、まぁね。18歳になるんだけど・・・」

「祝ってくれる人がおらんとか?」

「ん、そんなとこかな。」

苦笑する。
潤一は腕を組んで何か少し沈黙した後言った。



「よっしゃ、んじゃ今日一日俺が付きあったるわ。」



いきなりの発言。
は茫然とする。

「・・・へ?」

「会ったのも何かの縁やし。
学校サボるのもたまにはええと思うしな。」

「や、無理しなくて良いよ?」

「何でやろ、あんた放っておけんし。
あ、まだ聞いてへんかった、名前は?」

「・・・です。」

な。俺は稲本潤一や。
今日一日宜しく頼むわ。」


軽く自己紹介すると潤一はの手を掴み校外へ連れ出した。
そして近くのゲーセンやら自分の練習場やら、
潤一オススメの場所を只管に案内する。
最初はオドオドしていたも徐々に表情を穏やかにしていった。
そして夕方。
2人は学校に戻ってくる。


「あー今日滅茶苦茶楽しかった!!」

「これで1人の誕生日ではなくなったな。」

「そうだね、有難う♪」

笑顔でお礼を言う
しかし1・2時間程前から頭痛に悩まされていた。
だんだん痛みの感覚が長くなってくる。
多分元の時代に戻る合図なのだろう。

「あの、稲本君。」

「潤一。」

「え?」

「稲本君より一番最初に潤一呼ばれた時のが
何や知らんけどの場合しっくり来るねん。」

「じゃあ潤一で。
今日はホント会えて良かったよ。」

「帰るん?」

「うん、無事に帰れるかは自信ないけど。」

苦笑する
潤一の表情は暗い。

「・・・また、会えるんやろ?」

「どうかなー。
少なくとも4年間は会えないと思う。」

「何でやねん!?」

そう聞く瞳にはうっすら涙も滲んでいる。
自分と出会うのはまだまだ先だから。
そんな事言った所で信じて貰える訳はない。
どう言おうか困り果てる
潤一は拳を握って声を震わせて言う。

「1日一緒におっただけなのにこんな事言うのも軽いけど・・・」

「ん?」

「ずっと一緒にいたいて思ってん。」

「潤一・・・」



「俺多分の事好きなんや。」



はふふっと微笑む。

「中学時代の潤一に告白されるなんて・・・
良い誕生日プレゼント貰っちゃったな。」

「何言うてんねん。
こっちが真面目に言うとるのに。」

拗ねる潤一。
は潤一の目を見る。

「今は返事出来ない。
でも何年か後潤一とはまた必ず会えるから。」

「・・・確信持ったような言い方やな。」

「確信してるんだもんv」

笑う。
の頭痛はもう限界。
意識が薄れる寸前潤一の声が聞こえたような気がした。



「俺今の言葉絶対忘れんから!!
会えへんかったら承知せんからな!!??」




時空を超えたBirthday Prezent★


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