「ヤナ君有難う！！！」 キリンカップのため召集されている日本代表。 丁度その期間に誕生日を迎えた松田直樹の妹 はプレゼントをくれた柳沢敦に抱きついた。 「時計そんなんで良かった？」 「うん、可愛い！！ヤナ君大好きｖｖｖ」 さらに強く抱きしめる。 敦はどうして良いか分からず左右に目を動かしている。 その２人を引き剥がすのは中山雅史。 「俺も。ちゃんハッピーバースデイ☆」 「わーすっごい大きな花束！！ ゴンさん大好き―――――ｖｖｖ」 「カモン☆」 そして雅史にお姫様抱っこされる。 殆どの選手はこの繰り返し。 兄直樹は溜息をついて隣の小笠原満男を 不憫そうに見た。 「ミツ、まだ我慢出来るか？」 「・・・ギリギリ。」 言葉とは裏腹に明らかに不機嫌そうな顔。 そう、満男はの彼氏。 彼女が他の男に抱きついて気分が良い訳がない。 「あいつ兄が見ても呆れる程フレンドリーだからな。」 「分かってます。故意にやってる訳じゃないって。 だからってあんなに見せ付けるようにしなくても・・・」 目が潤んでくる。 鉄仮面と呼ばれる満男の無表情さも の事になると面白いほどにコロコロと変化する。 「はっきり言えば？ 俺以外の男と話さないでくれって。」 「そんな事言って嫌われたらどうするんですか！！ 別れるとか言われた日には俺死にますよ！？？」 「死ぬって言われても・・・」 困る直樹。 殺すと言われるより怖いのは何故だろう。 は相変わらず可愛い行為で周囲の選手達を虜にしている。 止めようにも自覚が全くと言ってよい程ない。 こんなにも自分の彼氏が嫉妬していると言うのに。 「ミツって彼氏っぽくねぇよなぁ。」 「お兄さん！！」 「キモッ！！鳥肌立つから 冗談でもそう呼ぶなつってんだろうが！！！」 兄と彼氏の馬鹿騒ぎにようやく気付いた。 何事かと楽しそうに歩いて来る。 「あー何やってんの？？」 「別に何でもねえよ。な？満男・・・」 直樹が問いかける。 しかし当の満男はに抱きつかれた選手達を睨んでいる。 「ミツ君こわーい。」 「普段独り占めしとるんやから 今日くらいええやん。」 視線に気付き返すのは中田浩二と稲本潤一。 「くっ・・・」 の前ではキレられない。 必死に自分を抑える満男。 ここを止められるのは直樹しかいない。 「あー！！ そういえばトルシエがミツの事呼んでたんだった。」 「へ！？」 「それから！！ お前俺のユニフォーム持って来い。」 「は？何で急に・・・」 「いーから行く！！」 ２人を部屋から放り出す。 はぁと一息つく直樹を見て雅史はニヤっと笑う。 「何だかんだ言って結局は オガサの義理の兄ちゃんだな☆」 「んな事ないッスよ・・・」 「いーや、あれは絶対 もう満男を認めたって感じ。」 敦も便乗する。 直樹はゴシゴシと頭を掻く。 「だーかーら違いますって。 の為ですよ、の好きな奴だから・・・」 「「「ふーん・・・」」」 薄い反応。 直樹は心の中で拳を握り締めた。 「ミツの野郎後で覚えてろよゴルァ。」 「直樹兄の奴急に何でユニフォームなんか。」 不思議そうにしながらロッカールームへ向かう。 一方満男は直樹の言葉を思い出していた。 『俺以外の男と話さないでくれって。』 の反応を思い浮かべるとやはり言えない。 「あのさ・・・」 「ん？どうかした？」 「他の人のプレゼント凄すぎて渡し辛いんだけど・・・」 不安げに何か包みを取り出す満男。 は嬉しそうな顔をする。 「誕生日プレゼント！？ 有難うー！！開けても良い？？」 「勿論。でもあんま期待すんなよ？」 が包装を解くと中にはガラス細工のオルゴール。 真面目な満男らしいプレゼントだ。 そしてその下にはメッセージカードが。 『　へ。　 １８歳の誕生日おめでとう。 これからもずっとの彼氏でいたいです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　満男　』 はカードを強く胸に当てた。 満男は心配そうにしている。 「やっぱ…気にいらなかった？」 「ううん、オルゴール有難う！！！でも・・・」 「でも？」 「このカードが誰のプレゼントよりも一番嬉しい！！！」 意外な言葉にきょとんとする満男。 は満男の方をしっかりと向いて言う。 「あたしもずっと満男の彼女でいたいです。」 ニコッと笑ってペコリとお辞儀。 その瞬間満男は自分を叩きたくなった。 何馬鹿な嫉妬をしていたんだろう。 こんなにも自分にだけ特別な態度を見せてくれているじゃないか。 満男はを抱きしめる。 「来年も再来年も・・・１０年後も２０年後も 　一生の誕生日を祝うのは俺だから。」 「満男・・・」 「だからずっと俺のでいて下さい！！」 HAPPY　BIRTH　DAY★