スクリーン



「へぇ『奥 大介女優Y・Kと熱愛!?』ねぇ・・・」


本屋なら何処にでも売っていそうな週刊誌を静かに閉じ、
は目の前で正座している大介に言った。
冷や汗をかきながら返す大介。

「その人サッカー番組のキャスターになった人で・・・」

「ふーん。ばっちり撮られてるね、女優の自宅前で。」

「そやかて遅くなったから送って言われて断れへんからっ。」

「そう、優しいんだね大介は。」

雑誌をゴミ箱に捨てる
その様子に大介は俯いていた顔を上げる。

・・・信じてへんやろ?」

「大介。」

が大きく息を吐いて言う。



「・・・別れよう?」



その言葉に目を見開く大介。

「なっ!急にそんな・・・」

「急にじゃないよ。ずっと思ってた。
大介これで激写されるの何回目?」

「それは・・・」

「いつも飲みを断れなかったとか・・・
あたしね?大介のそういう優柔不断なとこ大っ嫌い!!」

!!」

叫ぶ大介を無視し立ち上がって玄関に歩いて行く。



「もう疲れたよ。
嫉妬する自分これ以上見ていたくない、辛いよ。」



靴を履きドアを開ける。
そして外に出たところでは振り返った。



「バイバイ。」



無理やりに笑うの目は今にも零れそうに涙が溢れていた。
扉は閉じられ静けさに包まれる部屋。
床に拳を叩きつける大介。


「くそっ・・・・・・俺最悪や・・・」










「・・・何?この魂の抜け殻。」


翌日。
今日の夜7時キックオフの対ヴィッセル神戸戦に向けて
練習を始めた横浜・F・マリノス。
控え室に入った松田直樹は大介を見て開口一番に言った。
大介の隣にいた波戸康広が苦笑する。

「マツ、この間のあれだよ。」

「あぁ、スキャンダル第・・・第何弾だ?」

「覚えとくなよ(笑)で、ついにちゃんの堪忍袋の緒が切れたんだってさ。」

「納得。ちゃん今までよく頑張ってたよな。」

「確かに。普通の子じゃ2回くらいが限度ってもんだよな。」

本人に構わず話し続ける二人。
勿論大介の耳は全ての話が右から左へと流れている事を分かっているから。
その大介の肩を強く揺さぶる直樹。

「大介ー落ち込んでっとスタメン外れんぞ?」

「いい。・・に見て貰えへんのなら試合出えへんでいい。」

大介からは少しの気力すら感じられない。
終いには片眉を上げ直樹がキレる。

「チームの為とか自分の為とかに頑張ろうとか思わないのかよ!!」

「まぁ、マツ落ち着けよ。」

興奮気味の直樹を康広が抑える。
そして大介の方を向く。


「・・・大介さ、別れたくないんだよな?」


康広の問に頷く大介。
その反応に満足そうにすると続けて言う


「じゃあ俺に提案があるんだけど・・・」


二人に何か耳打ちする。
その直後。




「「 マジで!!!!!!!!????????? 」」




首を横に何回も振るのは大介。

「無理っ無理っ、俺にそないな事出来る訳ないやん!!」

魂を戻し必死に否定する。
直樹も即座に便乗。

「俺も同感。っつーか上手くいく確率0%に等しいじゃん。」

「そうだな。プレーにも凄く影響するし。
でも・・・とにかく俺とマツは大介にボールをまわすんだ。」

「本気かよ・・・」

溜息をつく直樹に康広は‘ハト’スマイル。

「今後大介がこのままだと俺らも困るしな。
ちゃんへの連絡は俺の妹に頼むよ、親友だし。」

「・・・・オッケ。ハトには逆らえないわ(笑)
一緒に地獄に堕ちてやる。」

女子が言ってもらいたいような台詞を男に言い、
松田直樹参加決定。

「サンキュ。あとは大介、お前次第だ。・・・・やるか?」

沈黙する大介にトドメをさす康広。

「電話もメールも家に行っても出てくれないならこの方法しかないって。
早く決めろよ、優柔不断男。」

普通こんな方法考えねえよと頭を掻く直樹を余所に、
大介は決意した。

「俺だって優柔不断なおしたいわ、の為に。」

「って事は・・・どうすんの?」



「・・・・・やる。」









「後半とっくに始まってるよねぇ・・・」


午後8時半。
は自宅でボーっと時計を見た。
しかしハッと自分の意思を否定するように頬を軽く叩く。

「何やってんだか!大介とは別れたの、そう!!」

必要以上の大声で宣言し、自分の気持ちを戒める。
その直後横浜マリノスの応援歌が携帯から鳴り響いた。
着メロも変えなきゃと思いつつ通話ボタンを押す。
電話の相手は康広の妹。

『もしもし?、試合見てる!!?』

「見てないよ。もう見る必要ないって分かるでしょ?」

『いいから見なって!!おっくん凄いんだから!!』

「・・・?」

あまりのテンションに仕方なくTVのチャンネルを切り替える。
そして少し驚く。

「3−0!?マリノス絶好調だねぇ。」

『でしょ!?でもそれだけじゃないの!!』

「何?」



『ハットトリックなの・・・3点決めたの全部おっくんなの!!』



「嘘・・・」

携帯を落とす。
いつの間にやら画面に熱中。
当たり前だ、嫌いで別れたのではない。
好きな男のプレーだったら見たくもなる。
そこで熱くなっているアナウンサーの実況。

≪おおーっと!!またもや波戸は奥にパスです!!
今日のマリノス一体どうなっているのでしょうか!!?≫

不思議に思いつつも更に画面を見つめる
大介は今神戸の選手にボールを奪われたところだ。

「あっ、何やってるのよ!波戸君の絶好のクロスを・・・」

も思わず地団太を踏む。
攻める神戸はシュートエリアに入ってきた。


≪神戸攻めてます!!あぁーしかし松田のナイスクリアー!!
ボールは弧を描き・・・奥だ!!ベストポジションに奥がいます!!!≫


手に汗握る戦い。
奥は敵のDFをすり抜けキーパーの真正面に強烈なシュートを打ち込む。
そして




「≪ゴ―――――――――――――ル!!!!!!!!!!!≫」




と実況の声がシンクロする。
そしてその直後試合終了のホイッスル。




〔いや、今日は奥・波戸・松田の3選手がとにかく光ってましたねぇ。〕


解説の人が明るく言う。
そうですねとアナウンサーもやや興奮がおさまった様子で返す。
しかしまた盛り上がる。

≪ん?はい、ただ今奥選手のインタビューが入って来ました!!≫

映像が切り替わり画面一杯に大介の顔が映る。
別のアナウンサーがマイクを向ける。

【おめでとう御座います、驚異の4得点!!!】

「嬉しいです!!今日の試合は俺にとって特別やったんです。
集中しまくってた成果が出ました!!!」

【同じく活躍された松田選手や波戸選手は奥選手に
パスを出しまくっていましたが・・・その点は如何ですか?】

「感謝してます。ホンマにええ友達持ったと思います!!」

答えの論点が少しずれていつつつも、
笑顔で答えていく大介。
会場からは大介コールが鳴り止まない。


【有難う御座いました!!最後に皆さんに何か一言。】




「・・・俺がホンマに好きなんはなんです!!!!!!」




今度は静まりかえる会場。
首を傾げているのはアナウンサーだけではないだろう。
当然だ。
この試合は全国ネットで生放送されている。

【おっ奥選手・・・?】

「まぁまぁ、ここは静かに聞いてやって下さい。」

「別の意味でもヒーローインタビューになりますから。」

次のインタビュー予定者の直樹がアナウンサーを掴む。
そしてマイクを奪うのは康広。

【で、その好きな人がどうしたんですか?】

「今俺が週刊誌で女優さんの事騒がれとって・・・
それで彼女傷つけてしもたんです。」

【本当にそれだけが理由だと思いますか?】

「ちゃいます。
俺の優柔不断さが一番の原因なんです。」

【そうですか。あなたはどうしたいんですか?】

「やり直したいんです。と。
俺がを愛してるんはどうしようも出来ひん事やから。」

【仕切りなおしと言う事ですか?】

「そうです。」

【では最後に彼女に一言】






「俺の為やったら優柔不断死んでもなおすから。
だからっ・・・俺ともう一回付きおうて下さい!!!!!!!」









「何なのよ・・・電波ジャックなんかしちゃって・・・」


涙をボロボロと流しながら言う
そして数分後、の家のドアを叩く音。

「俺や。TV見てくれた・・・?」

の家はマリノスのホームから車で5分。
大介はあれを言ってすぐにこっちに向かったらしい。
ドアを開けたらまだユニフォーム姿の大介。
は涙を拭って返す。

「馬鹿・・・何考えてるのよ。」

「ごめんな?
せやけどこうでもしんとお前分かってくれへんから・・・」

止まらない涙を今度は大介がふく。

「あそこで言った事全部ホンマやから。
もう一回言うわ、今度はだけに言いたいねん。」




「俺はの事が大好きです。
別れたけど・・・もう一回付きおうて下さい。」




頷いて抱きつく
その自分より一回り小さい体を包む大介。

「良かったわ。波戸さんに感謝やな。」

「悔しいけど・・・嬉しかった。」

「俺はもっと恥ずかしかったんやで?でも・・」

「でも?」




「これで全国公認や!!」




END





はい、めっちゃ自己満(笑)
日本代表しか見てない人は分からないと思うんですが、
Jリーグでが現在猛烈に惚れている奥 大介夢ですvvv
かなりスケールのでかい話にしてみたんですが・・・
もし感想貰えたら嬉しすぎます(>▽<)


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