Shoot!! 14蹴

「じゃあ各自昼飯食べたら2時にリビング集合。
ベルギー戦のビデオ届いたから今日はその視聴とミーティングな?」


雅史が言う。
それに頷く選手達。
午前の軽い練習を終えてゾロゾロと宿舎の中に入って行く。


「なぁマツ、今日は外食OKらしいで!!」

玄関で靴を脱ぐ直樹に恒靖が嬉しそうに言う。
その直樹も聞いた途端に笑顔になる。

「マジで!?
俺焼肉が良い焼肉!!」

「えー・・・明日試合やで?胃もたれそうやって。」

「絶対ぇ大丈夫!!
逆にスタミナ付けとくべきだし!!」

「・・・そやなぁ、じゃあ近くの焼肉屋探そか。」

直樹に強く推され頷く恒靖。
その二人の前をボーっとしながら通過する
しかし声を掛けられないはずがない。

ちゃん!!今日昼飯合同ちゃうねんて。
俺らと一緒に焼肉行かん??」

「へ?」

全く聞いてなかったという感じの表情。
再度。今度は直樹が言う。

「昼飯焼肉行こうと思ってんだけど、
ちゃんも行かねえ?」

「んー・・・御一緒して良いんですか?」

勿論自分の動揺を他の選手達に悟られてはいけない。
精一杯普通を装う
の言葉に即答する恒靖と直樹。

「当たり前やん、ちゃんと外食なんて滅多にありえへんからな!!」

「大体こっちから誘ってるんだし(笑)」

「じゃあお願いしますv」


「あー!!俺も行きます!!」


が言った瞬間に聞こえる声。
3人が振り向くといたのは浩二と崇史。

「いいで?しかしえらい大人数やな。
あれ、でもいつも一緒のイナはどないしたん?」

不思議そうに言う恒靖。
浩二はさぁと首を傾げる。

「本当はイナとフクさんとラーメン食べに行こうかと思ってたんスけど、
なんか今何も食う気になれないとか言ってるんで。」

その言葉に思いっきり自分の所為だと確信する

「で、ラーメン好きのイナが行かないなら何食うかって事になって。
そしたら3人が焼肉とか言ってるからノッたんだよ。」

崇史も続けて説明する。
へぇと言いつつもまとめに入る恒靖。



「じゃあ5人で焼肉やな!!」










「狭い。」

「狭っ。」

「狭いッス!!」


「がー!!文句言うなや乗っといて!!」


エンジンをかけながら怒鳴る恒靖。
今、丁度焼肉に行く為に恒靖の愛車のベンツに乗った所だ。
助手席にはその光景をサイドミラー越しに見て笑う
そう、勿論後部座席には残った崇史・直樹・浩二の3人。
いくら大きい高級車といってもこんなガタイの良い男が3人も乗れば窮屈に違いない。
宿舎の敷地を出た所で我慢し切れずに言う浩二。

「ツネさん、焼肉屋までどれ位かかるんスか?」

「此処の従業員さんに聞いたんやけど30分位やって。」

「30分!!?長い―――・・・」

座席に深々座りうな垂れる浩二。
崇史は窓の方を向き頬杖をついている。
直樹は真ん中で一番身動きが取れない為少々不機嫌気味。

ブツブツ文句を言う3人を伴い車は出発した。








「へー、結構豪華そうだな。」


崇史が目の前の建物を見て呟く。
ジャスト30分、5人は一件の焼肉屋に辿り着いた。
車のドアからダルそうに出て来る直樹。

「熱ぢぃ。・・・クーラー凄ぇ効いてますように!!」

「何で飯食いに来ただけなのにこんなに疲れてるんだか。」

苦笑しつつ浩二が扉を開ける。
そのまさに瞬間走ってくる店長らしきスタッフ。



「いらっしゃいませ!!予約を頂いてる日本代表様ですね!?
混雑になりますので個室にご案内します!!どうぞ!!」



呆然とする5人。
正確にはあまりに早口過ぎて聞き取れなかったのだ。
取りあえず‘はぁ’と言いながら店長の後ろをついていく。
まさに和という感じの庭を横目に廊下を通り過ぎ、
一番奥の部屋に着く。
襖を開けてどうぞというジェスチャーの店の店主。


「ではこれから順々にお肉をお持ちしますので、
少々お待ち下さいませ。失礼致しました、ごゆっくりどうぞ。」


少しの沈黙の後、が口を開く。

「畳の良い香りですねー。」

「ははっ、あの主人の事には触れんのかいな(笑)
ってか宿舎の人予約しといてくれたんやな、有り難いわ。」

そして5人で座布団に腰を下ろす。
の左には恒靖、右には浩二。
左斜め前には崇史、同じく右斜め前は直樹といった席順だ。
そして運ばれてくる大量の牛肉。

ちゃん何食いたい?俺焼いたるって。」

自称ジェントルマン恒靖がに聞く。

「あ、自分でやりますから!!
ツネさんもお好きなの食べて下さい。」

慌てて返すに爆笑する崇史。
仕切りなおすのは直樹。

「取りあえず食おう!!
はい、カルビ、ロース、タン・・・」

どんどん鉄板が赤色で埋まっていく。

「んじゃ頂きます!!・・・・美味過ぎっ!!」

「ホント、美味しいーv」

空腹の為幸せを噛み締める浩二。
便乗するようにも言う。

「やっぱ焼肉はタンに始まるだろ!!」

直樹がそう言って口に運ぼうとした時だった。



プルルル・・・プルルル・・・・



ジーパンから聞こえてくる電子音。
直樹が箸を置いてポケットから携帯を出す。



「折角の飯の時に・・・悪い、すぐ戻るわ。」



襖を開け外へ出て行く直樹。
直樹の方を見てから焼肉に視線を戻す4人。

「じゃあ俺マツのタン貰お。」

ニヤっと笑って頬張る恒靖。
うわっ酷ぇーと言いつつも恒靖と同じ顔の崇史。
久しぶりの外食はかなり充実していた。







「なぁ、マツやっぱ遅くねえ?」


戸の方を見て言う崇史。
頷くのは浩二。

「そうスよね。もう30分は経ってるし。」

「早くしないとマツの分なくなるんとちゃう?」

「あの、あたし呼んで来ます!!
もしかしたら部屋分からなくなってるのかもしれないし。」

立ち上がっては部屋を出て行った。





「松田さん何処行ったんだろう・・・・・?」


廊下を歩きながら周りを見回す
しばらく歩いてやっと直樹の声が聞こえてくる。
小走りで声の方へ向かう
直樹は休憩所のような椅子に座っていた。
どうやらまだ電話をしている様子。
しかし何か様子がおかしい。
が声をかけようとした時だった。




「だから何でそうなるんだよ!!!!!!」




感情的な、むしろ怒鳴った声。
そして直樹は壁に思いっきり携帯を叩き付けた。
目を見開いて驚く


「くそっ・・・」




「松田・・・・さん?」





ちょっと今回は長めかな?
はい、ドライブシリーズ第二段です(笑)
ツネさんの愛車はベンツという事で使わせて頂きましたv
ちなみにマツさんの大好物は焼肉ですv
次回はマツと主人公のお話になりそうですー。


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