Shoot!! 15蹴

「なぁ、ちょっと聞いていいか?」


がいなくなってすぐ。
3人になった部屋で崇史が口を開いた。
声の方に向く恒靖と浩二。

「何です?」

「何か真剣な話っぽいスね。」

「真剣つーか・・・」

少し考えてから言う崇史。



「あのさ、ちゃんの事どう思ってる?」



話の話題が思わぬ所からのため理解しきれていない二人。
水で肉を飲み込む恒靖。

「どう思うの意味が分かりへんのですけど?」

「率直に聞くと恋愛対象としてどうなのかって事。」

あまりに真剣な表情の崇史に、冗談で返す事も出来ない。
浩二も食べるのをやめ、崇史を見る。

「フクさんはどうなんスか?」

「俺正直言ってよく分かんないんだよな。ただ・・・」

「ただ?」

崇史が耳を近づけるように二人に催促する。
言われた通り机に身を乗り出す恒靖と浩二。



「誰にも言うなよ?ってか俺も隆三から聞いたんだけど・・・
タカがちゃんに告ったらしい。」



沈黙。
隆三が雅史達に話した時とは違うもっと重苦しい雰囲気になった。
眉間に皺を寄せ、怪訝な表情の恒靖。

「それ、ホンマなんですか・・・?」

「嘘言ってどうすんだよ。
まぁ俺も聞いた時は信じられなかったけど。」

崇史の返答に浩二も俯く。

「OK・・・すんのかな・・・」

「俺もな?その時一緒にその事聞いてた伸二も浩二と同じ事思ったんだ。
これは何を意味するのかって・・・だからちょっと聞いてみたくなったわけ。」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」


誰も何も話さない。
鉄板で肉の焼けるジューッとした音だけが聞こえていた。








ちゃん・・・・・」


ハッと我に返ったように直樹が振り向く。
どうして良いか分からず取りあえず直樹の隣に腰を下ろす

「ははっ、凄ぇ馬鹿なとこ見られたな。」

苦笑して言う直樹。
勿論無理しているのはそこに居れば誰もが気付く事だろう。


「あの、電話の人と何かあったんですか・・・?」


恐る恐る聞いてみる。
拳を強く握って直樹は話しだした。

「・・・俺と彼女上手くいってないって多分ツネから聞いたろ?」

一昨日位の事を思い出し小さく頷く

「今の相手も勿論彼女。
何で電話寄越さないんだってキレられてさ。でも俺今・・・」

「・・・サッカーの事で一杯一杯なんですよね?」

優しい顔で言うに直樹は大きく頷く。

「俺ホント余裕なくてさ・・・!!
だから彼女の事にそこまで気回してやれないし・・・」

辛そうな直樹。
は背筋をピンと伸ばして一息吐くと返した。


「松田さんて本当に良い人ですよね。」


直樹が顔を上げる。

「俺が・・・?」

「結構前から思ってたんです。
松田さんって凄く人の事考えてるんだなぁって。」

「そんな事全然ないって。今だってさ・・・」

「それは多分気を遣い過ぎて疲れちゃったんじゃないのかな?」

は続ける。

「もっと気持ちにゆとりを持てるようになりましょうよ。
此処には信頼出来る友達が沢山いるじゃないですか。」

「ゆとり・・・」

「はい。松田さんて気のせいかもしれないけど、
無意識に周りの人をガードしてるような気がするんです。」

図星。直樹はそう思った。
プレーに関しては絶対的に選手達を信用してる、それは間違いない。
しかし心の点はどうか。

「でもツネさんとか浩二さんとか。他の皆だってそうです。
もっと言いたい事言い合える仲なはずなんです。」

は立ち上がった。

「彼女さんにだって・・彼女さんだからこそ気遣う必要ないんじゃないですか?
それに、他人が自分のやりたい事を止める権利なんて何処にもないと思うんです。」

直樹の中の霧が一瞬にして晴れた。
はそう言うと本来の目的であった焼肉の事を伝える。
そして部屋に戻り始めた。
しかしその途中で直樹の方を振り返る。

「あ、松田さん、それともう一つ。」

「ん?」




「物にあたるんだったら、その分を好きな事にプレーにぶつけましょう!!」




ニコッと笑うと今度こそは部屋に帰って行った。

「プレーにかぁ。・・・そうだよな。」

携帯を壁にぶつけたって苛立ちが強くなるだけ。
それを良いプレーで発散する方がずっと自分の為じゃないか。
直樹は携帯を持ち上げ決心したように電話を掛けた。



「あ、直樹だけど。あのさ・・・別れて?」



直樹は携帯を耳から離した。
高い怒りの声が聞こえてくるのだろう。
そしてもう一度電話を近づける。

「俺今はっきり言ってサッカー以外の事考えたくない。
でも・・・」



「そんな状況でお前より好きな奴が出来た。」



今度は話が続けられそうだ。
多分彼女は絶句しているのだろう。



「俺の事凄ぇ分かってくれてさ、それに・・・
俺が唯一気遣わないで本音で話せる子なんだ。」



そう言うと直樹は一言だけゴメンと謝って電話を切った。
もう迷いはなかった。
廊下を歩き部屋の前に立つ。
一回大きな深呼吸。
そして襖を大きな音と共に開けた。
目が点の4人。


「悪い!!かなり話し込んでたし俺!!」

「ホンマ遅いで〜?
ってかマツの肉食ってしもたわ。」

「は!?マジで?俺一口も食べてねえし!!」

恒靖の言葉にショックな表情の直樹。
期待以上の反応に満足そうな崇史。

「美味かったよなぁ、浩二?」

「油のってて最高スよね!!」

「悪魔だ皆―――・・・」

凹みつつ座布団に座る直樹。
そこでが肉を差し出す。



「というのは冗談で、
ちゃんと松田さんの分とってありますからv」



直樹以外が大爆笑。
騙された直樹唖然。

「お前等ぁ・・・」

「ぐぇ゛!!」

「くっ苦じ・・・ギブッ、ギブッ」


浩二と恒靖の首をダブルで絞める。
そしてパッと手を話すと八重歯の目立つ可愛い笑顔での方を向いた。



ちゃん、有難とな!!」




これでマツも戦闘体制(?)ですーv
あ、まだコレは告白ではないので!!
フラット3は後半の方って決め手ますんで(笑)


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