Shoot!! 20蹴


―――ッ!!

MFの潤一がボールを蹴って試合再開。
再びピッチ脇に戻って来た
まださっきの事が頭から離れなかった。
選手だけではなく全員での円陣。
自分が役に立っているのかは分からないが、
わざわざ探しに来てくれて仲間と呼んでくれた事に感動していた。

「何やツネの近くのFW・・・」

その時晃寛が怪訝そうな表情で言う。
呟きに反応する

「あの人がどうかしたんですか?」

「いや、はりきり過ぎてんのやと思うけど。
異常なオーバーラップで見てて危なっかしいねん。」

もその地点を見つめる。
後半から変えられた新しいFW。
確かに晃寛の言うとおりだった。
恒靖と危うく接触しそうになるという場面が絶えない。
晃寛はベンチの背もたれに体を預ける。

「心配やけどまぁ大丈・・・イチ!!そこや行け!!!」

そのFWからすぐボールに目を戻す。
右サイドから大祐が果敢に敵陣を攻めていた。
ゴール前には雅史と隆行が待っている。


「イチ君、頑張って!!!」


も出来うる限りの大声の声援。
トルシエ監督は席を立ってピッチ脇まで走っている。
しかし大祐がクロスを上げようとした所で相手DFのスライディング。
日本代表はコーナーキックとなった。
蹴るのは英寿。
この形のセットプレーは何度も練習している。
は指を組み目を瞑って祈った。


「入って・・・・!!」



カーン!!!



鈍い金属音。
は目を開ける。
どうやら雅史のシュートは惜しくもポストで跳ね返ったらしい。
しかし次の瞬間。




バシュッ!!!!




「「うっしゃあ!!!!!!!!」」




浩二と直樹の声。
こぼれ球を二人が同時にゴールへ押し込んだのだ。
雅史が抱き合っている二人の間に飛び込んだ。

「良くやった!!!」

「ゴンさんのシュートのお陰スよ!!」

「あ、ちゃん手振ってるぜ?」




「「「 イエーーーッ!!!!!!!! 」」」




3人での方にピースサイン。
満面の笑みの
後半10分。
日本代表はさらに1点を追加し2−0とした。
そして静岡産大ボールでまた攻撃が始まる。
MFからFWへのパス。
その直後だった。



「嫌あああぁぁぁぁ!!!」



が泣きそうな声で絶叫する。
晃寛の予感が的中。
ボールを奪おうとした恒靖と例のFWが正面衝突。
プロテクターが吹き飛ぶ。
立ち上がるFWに対し恒靖は体が動かない様子。

ちゃん!!行くわよ!!!」

「ツネさん・・・」

さすがに叔母の表情もかなり険しい。
鼻骨を骨折してやっと治りかけた時にコレ。
二人でピッチに走る。

「ツネ!!聞こえる!?」

頬を軽く叩く。
頷けないものの目をうっすら開け叔母を見る恒靖。
叔母は担架係の人に頷くと、急いで脇に運んだ。

「取り敢えず試合続行は無理ね、交代よ。」

その言葉はトルシエに伝わり隆三が呼ばれる。
はずっと恒靖の手を握って声を掛ける。

「ツネさん!!大丈夫ですか!?」

「あー・・・鼻またやってもうた。」

やっと口を開く。
鼻血などは出ていないが自分で分かるのだろう。

「そうね。多分・・・ヒビがまた悪化してるわ。」

「またチームに迷惑かけてしまうわ。」

「人の心配はいいから自分の怪我治す事に集中なさい?
W杯のフラット3、ラインコントロール出来るのはあんたと隆三しかいないのよ?」

「せやな・・・」

叔母の励ましに鼻を押さえて立ち上がろうとする恒靖。
が肩を貸す。

「叔母さん、すぐ病院行きますよね?」

「ええ、勿論よ。
あたしが付いて行くからちゃんは試合の方頼むわね。」


「はい!!
ツネさん、きっと大丈夫ですから!!!」


二人を見送る
ベンチの雰囲気は勝ったにも関わらず暗かった。
そのまま試合は2−0で終了。
選手達が控え室に戻ってくる。


「ツネ、大丈夫なのか?」


すぐにに聞く隆三。
選手も全員の方を見る。
その瞬間の手の携帯が音をたてる。
着信は叔母。
慌てて通話ボタンを押す。

「もっもしもし!!
ツネさんはっ・・・え?はっはい・・・分かりました。」

数秒の会話。
そして電話を切ったあと少しだけホッとしたの表情。

「ツネさん、思ったより怪我酷くないみたいです。
強い接触プレーとかなければ普通に試合出来るって・・・」

「マジで!?はぁー・・・心配かけさせやがって。」

隆行が溜息をついて言う。
恒靖の状態はは治りかけのがまた怪我した当時に戻った程度。
前と同じくプロテクターの着用でなんとかW杯には出れるらしい。
恒靖の無事を確認してやっと勝利を喜ぶ声が聞こえる。
笑顔を取り戻す敦。

「あー・・・でも勝ててよかったな。」

「でも2点目浩二とマツさんスよ?
俺らの立場ないですやん。」

潤一が少々苦笑する。
そして選手全員は着替えを終了し、
がやがやと騒ぎながらバスにまた乗り込む。
はその間に叔母の道具を全てバスへ運び、
静岡産大のトレーナーに軽く挨拶をすると最後にバスに乗った。



「ツネ大した事なくて良かったな。」


帰りの隣は和幸。
の心配していた事を的確にフォローする。

「そうですね、一安心しました!!」

笑顔で答える

「あ、戸田さんの途中のパスカット素敵でしたよ?」

「そりゃどうも。
俺は取り敢えず帰ってからの飯が楽しみだ(笑)」

「ですよね!!勝ったら庭でバーベキューの約束ですし!!」

後ろからガバッと顔を出す満男。
そう、選手達は宿舎の人と契約を結んでいたのだ。
勝ったら庭でバーベキュー引き分けか負けなら普通のご飯。
もクスクス笑う。
そして楽しく話しているうちに宿舎に着いた。
叔母のも含めた大きな荷物を持ちバスを降りる
それに気付くのは直樹。

ちゃん、持とうか?」

「あ、大丈夫です!!・・・あれ・・・?」

直樹の顔が霞む。
先に下りていた正剛も首を傾げる。

「?どうしたんや?」

「いえ、何かちょっと・・・目が・・・」

頭がボーっとする。
そしてフラフラする体。

「今日忙しかったしな。」

「それでちょっと疲れたのか・・・」

次の瞬間




ちゃん!!!!????」




直樹が叫ぶ。
選手皆が急いで声のする場所を見る。
は意識を失い正剛の方に倒れこんだ。




凄い展開(笑)
ツネさんは確かこの試合で骨折したんですよね?
靖樹当初それを知らなくて最初から骨折させてたので、
今回は再度ぶつけたって事にしてみました。
主人公は如何に!!?


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