Shoot!!
26蹴



ちゃん?どうした?」


午前中の練習も終わり昼食の席。
思うように箸の進んでいないに雅史が聞いた。
しかし反応がない。
思い切って肩をポンと叩いてみる。

「へ!?あ、なっ何ですか?」

ビクついてようやく気付く
その光景に同じテーブルの豊と年宏も苦笑。

「ゴンさんの話完璧無視だな。」

「何か最近ちゃんボーっとしたり
急にしっかりしたり面白いよな。」

「ハットさん・・・そうですか?」

自覚がないようで首を傾げる。
しかし多分告白→悩み→復活
この繰り返しの事なのだろう。

「ま、何かあったら俺に言いなよ?
ちゃんは俺の妹みたいなもんなんだからさ☆」

「ゴンさん・・・有難う御座いますvvv」

雅史の明るさに少しだけ励まされる。
そして何とか昼食もこなし午後の練習へ。
にも余暇が出来たので叔母と会話をする事に。

「叔母さん、明後日とうとうW杯が開幕するんですねぇ。」

「そうよね。何か信じられないわ。
こんなガキ共が日の丸を背負って立つんですもの。」

冗談風に言う叔母には微笑。

「どうかしら、この数日間は有意義だった?」

「勿論です!!色々な事勉強させて貰いましたし…」

他にも沢山の事があった。
ついに結論を出さなければないらない日が迫って来ている。
1人黙りだすに叔母は不思議そう。

「貰いましたし・・・続きは?」

「あ、いえ。これから本物の
トレーナーになれるように頑張ろうって思いました!!」

笑顔を繕う。
当然の叔母の事だ。
その表情に蔭りがある事は承知。
しかし敢えて聞かない事が叔母のへの優しさなのだった。









そして夕食。
敦の周りには隆行・英寿・直樹が同席。
なんと浩二は椅子までわざわざ持って来ている。
煮魚を頬張りながら動揺する敦。

「な、何だよ皆・・・?」

「率直に聞くけどお前ちゃんに告ったろ。」

隆行の言葉に口に含んでいた物を吐き出す。
明らかに図星。

「へ?さっさぁ何の事やら・・・?」

「誤魔化しても無駄ッスよ。
俺ら控え室に入るまでずっとヤナさん見てましたし。」

浩二の言葉に直樹は頷く。

「別に隠す事ないと思いますけどね。」

「お前らなぁ・・・///」

顔を真っ赤にする敦。
しかし冷静を装って隆行を見る。

「ま、いいか。
タカさんよかバレバレじゃないし。」

まぁそうだなと納得する浩二や直樹を余所に
隆行の顔は顔面蒼白。
あのアヒル口も今日は全開。



「何で知ってんだよ!!!???」



あまりの驚きに席を立ち上がってしまう。
しかしきょとんとするの視線に気付いたようで
コホンと咳払いしながら着席。

「タカさんがちゃんに告白したの
知らない奴って・・・いるっけ?」

直樹の問いに首を横に振る残りのメンバー。
隆行は何で知ってんのという表情ばかり。
敦はニヤっと笑う。


「人の噂って回るの速いみたいですよねー。」


最初は敦を問い詰めようと思っていたのに
いつの間にやら矛先のずれている面々だった。









ちゃん、今暇?」


そして食後のフリータイム。
部屋に帰ろうとするを呼び止めるのは英寿だ。

「お風呂入ろうとしてたんですけど何ですか?」

「あ、用あるならまた今度でも良いんだ。
ただ庭今凄い星が綺麗だからさ、見せたいなと思って。」

「星ですか!?見たい、見たいです♪」

英寿の誘いにの表情は明るくなる。
そして二人は一緒に庭に出た。
ドアを開けた瞬間は空を仰ぎ見る。

「ホントだぁ・・・綺麗ー・・・」

圧倒されているような口ぶり。
英寿は何も言わないまま近くのプールサイドのベンチへ。
もとことこと歩いて隣に腰を下ろす。

「一昨日見た時よりも凄い輝いてる。
明日絶対晴れるなぁ・・・。」

そして独り言。
英寿は軽く微笑む。

「よく此処来るんだ。」

「そーですねぇ…結構静かなの好きなんですよ。」

「じゃあ選んで良かった。」

「え?」

満足そうな英寿の意味がには分かっていない。
英寿は背もたれに体を預けながら簡潔に言った。



「俺は、ちゃんが好きだよ。」



何の飾り気もないストレートな台詞。
何故だか分からないが英寿には告白される事は
ないだろうと思っていたは茫然。
英寿はそれに気付いたようだ。

「俺って恋愛に興味なさそうに見えるんだろ?」

「あ・・・」

言われればそうなのかもしれない。
申し訳なさそうなに英寿は苦笑。

「俺も一応は男だからね。
・・・でも、その反応で諦めついたよ。」

「へ?」




ちゃんが好きなのはきっと俺じゃないから。」




意外な英寿の一言。
目を点にしているに続ける。

ちゃん多分だけどさ、
俺とタカさん以外にも告白されてるだろ。」

「何で…」

「当たり?勘だったんだけど。
だったらゴメン、きっと今辛い状況なのにさ。」

「いえ…そんな…」

「でも俺内に秘めとくとかそういうの出来ないから。
だから言わせて貰ったよ。振られるの分かってたけどね。」

黙って俯く
しかしやがて小さい声でこう返した。

「あたし・・・よく分からないんです。」

「何が?好きな人が?」

「それもそうなんですけど
何ていうか・・・自分の気持ちが。」

誰から告白されても動揺してしまう。
その場ですぐに断れないあたりからしても分かる事だ。
英寿はの頭を優しく撫でた。

「今はまだ良いんじゃないのかな。
それに失礼かもしれないけどちゃんらしいって言うか。」

「そんなので済まされないですよー。」

「分からないもんは分からないよ。
そのうち明確な答えが出てくるって。」

そして椅子から立ち上がる英寿。

「さて、俺戻るから。」

「ヒデさん・・・御免なさい。」

何故か謝ってしまう
英寿は振り向いた。

「あ、やっとヒデって呼んでくれたんだ。進歩進歩。
でもこんなに潔く去る男中々いないよ?」

そして少しかがんでに口付ける。



「って事で見返りは頂きました。」



ただでは折れない男中田英寿。
は本日二回目のキス(しかも別の相手)に
頭が真っ白。
しかし英寿の言葉を思い出し、
また空を見上げて呟いた。



「あたしの、好きな人・・・かぁ・・・」





今回展開早目ですね。
はい、ついにヒデの告白です!!
主人公の内面的にもそろそろ佳境てすかねぇ…


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