-Step- 11


じゃあそろそろ俺達も寝ます!!」

「「オヤスミー」」


楽しい夜の団欒を終えた午前12時。
が早目に床に就いてから30分後。
今日こそ意地でもと一緒に寝てやると
意気込んでいた田中兄弟は啓太と和幸の
あっさりとしたOKサインにびっくり。

「へ?良いんスか?」

「うん、良いよ。ハユと達也なら
どうせお互いに相殺し合うだろうしね。」

「どうせって…何か拍子抜けぇ〜。」

「いいからお子様は寝んの。」

啓太に背中を蹴り飛ばされ、
訳も分からず部屋に戻っていく二人。
同じような心境なのは大輔と嘉人。

「なぁ、カズとケータさっきからおかしない?」

「俺もそう思ってた。
何か顔険しいし。どうしたんだよ?」

「別に何にもないよ。
あ、俺ももう寝るわ。おやすみ。」

「んじゃ俺もー。」

愛想なくさっさとドアを開け出て行く。
人の話も上の空という感じだ。
二人と同部屋の光は大体の内容を分かっていて、
自分も立ち上がるとさっきから無言を貫く勇樹の方を
ちらっとだけ見る。


「阿部っち、あんま悩むなよ。」








「なぁ三田、寝た?」


光がベットに入って数分。
肩を揺すられゆっくり目を開けると
話しかけて来たのは和幸。

「カズ…何?」

「話聞いて欲しいんだけど駄目?」

切羽詰ったような表情に光は
右を見て啓太が寝ているのを確認すると
むくっと上半身を起こした。

ちゃんの事?」

「…やっぱ三田には気付かれてたか。」

「まぁ阿部っちの事でなんとなくだけど。」

その言葉に一瞬会話を止める和幸。
そして勇樹がにしたらしい事を光に言った。
考え込む光を見ながらゆっくりと息を吐く。

「阿部ちゃんさ、ちゃんの事本気だと思う?」

「本気か?」

「うん。だってあんな簡単にちゃんにキスして。
本気じゃないなら…ちゃんが可哀想じゃ。それに」

「それに?」

「むちゃくちゃ阿部ちゃんに腹立ててる
自分がいるけん…どうしたら良いか…。」

素直に自分の気持ちを述べる和幸。
の気持ちを第一に考える和幸らしさが出ている。
隼磨だったら間違いなく俺もとにキスして
いるだろうと思いながら光は話し出した。

「阿部ちゃんの肩持つつもりはないけど、
俺は冗談でそんな事しないと思う。」

「本気って事・・・?」

「本人が気付いてるか気付いてない
かは分からないけどな。」

いや、勇樹の事だから多分分かっているだろう。
そして自分の行動に後悔もしているはず。
だからこそ自分は寝る前勇樹にあんな声を掛けたのだ。
光の言葉に和幸は少しだけ下に俯く。

「そっか…」

「で、カズはどうなんだ?」

「へ?俺?」

「興味もない女の子が何されたところで
普通こんな風に思い詰めないだろ。」

お見通し。
むしろ自分が光に相談したかったのは
こっちの方なのかもしれない。



「俺…ちゃんが好きだよ。」



打ち明ける相手は本人じゃないけど。
言うにはかなり勇気がいった。
そして自嘲する。

「会ってまだ二日なのにさ、
俺おかしいよな。」

「期間は関係ないよ。
きっと阿部っちもだし。逆に…」

「逆に?」

「そういう理由で自分の気持ち
押し込める方が俺はどうかと思うけど。」

限られた時間大切にしろよ?
光に的確なアドバイスを貰い
ようやく胸に痞えてたものが晴れた和幸。
笑顔で頷くと阿部ちゃんともライバルかと
呟いてまたベットに横になる。

「三田、有難う。」

「はいはい、オヤスミ。」







「・・・・・・」


二人の意識が夢の中に入った頃
右のベットで動きがあった。
静かにベットを出て窓を開けるのは啓太。

「全部聞こえてんだよなー…」

そう、完全な狸寝入り。
わざとではなく、自分も寝られなかったから。

和幸と同じ気持ちで。

だから光の言った事は当然自分の心にも
ぐっとくるものがあったわけで。
啓太は窓を閉めると毛布に潜り込んだ。
そして誰にも聞こえない声で呟く。


「俺もライバルなんで、宜しく。」





主人公が一回も出て来ねぇ!!!(笑
まぁ今回は甘くというか何ていうか…
とりあえずカズとケータの想いを明確にって事で。
…にしても三田君大活躍(笑
そしてほんのちょっとだけカズの広島弁織り交ぜ。
探して見てください♪←何


 

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