-Step- 14


「…ちゃん、阿部ちゃん!!」

紅白戦ハーフタイム。
直宏の呼びかけにようやく勇樹は振り返った。

「あ、ナオ…」

「ナオじゃないよ!
どうしたの?さっきからプレー変だよ?」

直宏がそう言うのも無理はない。
FKでは精度を欠くしパスの精度は落ちるし散々。
直宏に便乗して頷くのは大輔と悟志。

「ホンマ阿部ちゃんらしくないで?」

「同感。お前がしゃんとしねーと
俺や達也にもパス回って来ねえからさ。」

「うん…ごめん。」

取り敢えず謝る勇樹。

「別に悟志も責めてる訳じゃないんだから謝るなよ。
いつもの阿部っちらしいプレーして欲しいだけ。」

昇平にそう言われ勇樹も曖昧な笑みで頷く。
勇樹の様子がおかしいのは全員が分かっていた。


「阿部ちゃん…」








「田中兄弟!」


勿論そう思ってるのは選手だけではなくて。
山本監督は水分補給中の隼磨と達也を呼んだ。

「ん?何スか?」

「最近阿部のまわりで変わった事ないか?」

「変わった事ぉ?あるっけ、ハユ?」

監督に聞かれても思い当たる節はない。
隼磨に振る達也だがその隼磨も肩を竦める。

「別に何もないよなぁ。あ、でも…」

「でも?」

「さっき来た子いたじゃないスか?っていう。
の方見てボーっとしてる時とかあるよな。」

「あーあるかもねぇ!そうそう、ちょうどさっき
プレーしてた阿部っちサンみたいに…」

「もしかして完全に惚れてたり?」

「まっさかぁ!あの完璧で冷静な阿部っちサン
だもんそんな事でプレー駄目にする訳ないよ〜。」

どんどんと会話をすすめる田中兄弟。
結局は体調悪いんじゃないですか?と
結論を出す二人に笑顔でそうかと頷くと
監督は腕を組んでベンチに座った。


「…さんか…」







「明日はとうとう予選一試合目だ。
やるべき事は分かってるな?」


そして本日の練習も終わり
明日の試合を前に監督が選手達に問う。
うすっ!!と気合の入る選手達。

「よし、じゃあ前もって言っていた通りの
スタメンでいくから…あ、阿部。」

言いかけた所で監督の視線は勇樹へ。
へっ?と首をあげる勇樹に他の選手も不思議そうな表情。


「お前は明日鈴木と交代だ。」


ピッチ内がどよめく。
J1最年少デビュー者。
W杯代表候補にもなった勇樹がスタメン落ち。
監督は厳しい顔で勇樹を見つめた。

「どうしてこういう結果になったか
自身で理解しているな?」

「…はい。」

反論しようともせず俯いての返事。
確かに今日のプレーを見た限りでは安心して
明日出させる事は出来ない。
場が静かになったのを確認すると監督は一言。


「明日の良いプレー・流れがこれからに
繋がる。精一杯プレーしなさい!!」








「阿部さんどうしたんですかね…」

「タケ、今お前は自分の事考えろよ。
ライン統率はお前の仕事なんだから。」

「あ、はい!!」

解散後。
暗い雰囲気になってしまっている剛の
肩を光がポンと叩いて励ます。
しかしその光自身も少なからず勇樹の事
を気にかけていた。
そこに歩いてくるのは嘉人と和幸。

「三田、早く帰ろうぜ。
練習前にちゃんの食事でリフレッシュ!」

「そうだよ。それでさ、明日絶対勝つからって
ちゃんの前で言ってあげたくない?」

「あ、それ良いッスね〜カズさん!!」

「んじゃタケも来いよ。」

そこで啓太が後ろからタケに乗りかかる。
夕食の話となれば悟志・直宏も合流。

「俺らももち行くから!!な、ナオ?」

「うん…でもいい加減俺らの方の給仕
さんに申し訳なくない?」

「いんだよ!俺ら若いし本能でちゃんを
選ぶのは仕方ない♪」

なんならナオだけ帰る?
その呼びかけに直宏は苦笑した。

「それは嫌だなぁ。
やっぱ俺もお呼ばれさせて貰うよ。」

そうこなくっちゃ。
はしゃぐ悟志や他のメンバー。


「それ、俺もお邪魔させてくれるか?」


低い落ち着いた声。
振り向くとそこにいたのは山本監督だった。





しっシリアス…?(聞くな
なーんか阿部っちのキャラがどんどん
おかしくなってますけどスイマセン。
もっと壊れる予定なんで(爆
見届ける広い心と根性のある方だけ続きをどうぞ^^;


 

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