-Step- 18


「やっぱ、ちゃんいないし。」


そしてとうとうパレスチナ戦試合開始直前。

2000人という少ない観衆を見渡して遼一が言った。
頷くのは裕一。

「まぁ、理由が理由だから来辛いだろうな。」

「でもそれこそ俺らの頑張りで会場に
来たいって思わせれば良いわけじゃん?」

啓太の一言に全員が納得。
そこに山本監督が歩いて来る。
持っているのはキャプテンマーク。

「タケ、お前がキャプテンだ。」

「は?俺スか!??」

勿論キャプテンなんて自分より年上の
面々の誰かがやると思っていた剛は茫然。
その考えを読んだように監督はニヤっと笑う。

「昨日逆に責任感が出て来たって言ったよな?
見せて貰おうじゃないか、実力の程を。」

「・・・・・」

手に赤いキャプテンマークを持ち沈黙する剛。
その背中を達也と隼磨がバシッと叩いた。

「何、緊張しちゃってんの?
誰もタケに期待なんかしてないってぇ!」

「そうそう。気楽にやれよ、な?
あーぁ、俺のがキャプテン向いてるのに。」

プレッシャーをかける事のない田中兄弟の励まし。
剛はようやく笑顔で腕にキャプテンマークを巻き付けた。


「俺…精一杯やれるだけやります!!」







「大丈夫…だよね。」


前半が開始されている中。
リビングでは椅子に座り選手達の事を想っていた。
深夜遼一に説得されてはいたが、
やはり行く気にはなれない。
は指を組み、目を瞑った。

「頑張って…!!」

そう心から思った瞬間。
の頭に別の考えが過ぎった。
選手達が自分の為に頑張っているのに
何故自分だけこんなに人頼みなんだろう。
こんな所で一人で祈っていても選手には届かない。
じゃあどうしたら良いか。


「応援…行かなきゃ。」


答えは一つしかなかった。







「何やねん…クソっ!!」


ハーフタイム。
大輔はそう叫んでペットボトルを壁に投げつけた。
得点させて貰えない。
パレスチナの想像以上の厳しいプレスと粘りに
選手全員が苦しんでいた。
それを落ち着かせようとするのは昇平。

「まだ後半があるから!!大輔や悟志の
分は達也とナオがやってくれるって!!」

「せやけどちゃんの為に何も出来てへん
自分が情けないわ…」

ちゃん…やっぱ来ないのかな…」

和幸の暗い呟き。
しかし光は何故か強気な表情で返した。


「来るよ。」


一言。
同感という風に頷くのは啓太。

「俺もそう思うね。」

「何で分かんだ?」

不思議そうな悟志が聞き返すも
二人に根拠はない。

「何となく。ちゃんと何日か一緒して
そういう子だなって思ったから。」

「そー言われれば…
とにかく!今は試合に集中集中!!」

パシッと頬を叩く嘉人。
そして選手達は円陣を組んだ。
剛がこほんと一つ咳払い。


「絶対勝ちましょう!!」







「三田に啓太…凄いな。」


そしてピッチに現れた選手達。
瞬間目の色が変わった。
普通なら気付かないはずなのに
選手達は観客に混じるを確実に見つけていた。
思わず笑いが出ているのは裕一。
後半から投入された達也と直宏は満面の笑み。

「ははっ、ちゃんだ…ちゃん来てますよ!!」

「あれ絶対”頑張って”って叫んでる、
タツヤ、俺らの速さで試合を打開しような!」

「はい!!!」



後半開始。





おいおい前半スルーかよ(笑
まぁダラダラ試合書いててもしょうがないんで
得点する後半をメインにしようかなと。
続きも頑張ります!!


 

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