-Step- 19


「すっげ、やる気出まくりじゃん。」


後半開始から5分。
交代した
悟志はパレスチナ勢を錯乱させる
達也と直宏の素早い動きにひゅうっと口笛を吹いた。
隣で不貞腐れた顔をしているのは同じく交代した大輔。

「あーぁ、俺かてちゃん来てた時やったら
今までにないぐらいの技見せたったのに。」

「まぁ拗ねんなよ。今日の俺らの仕事は終わり。
あとはピッチにいる奴らに任せるしかねえだろ。」

拓也などが横でウォームアップする中
二人でと試合を交互に見つめる。
遠目からでも大声で応援しているのがはっきり分かる。
大輔は悟志の言葉を耳に入れながらはぁと溜息をついた。


「せやけどホンマ結果出したかったわー…」






「お、いけんじゃねぇの?」

「うん、俺もそう思う!」


ピッチ内。
スーパーサブの投入と敵の疲労で
パスが通り始めたのを確信した啓太と和幸は
ニヤっと笑いながら攻撃の起点になり始めた。
やはり狙うは若き日本のエース嘉人。
ダイレクトにパスをしたり裕一や隼磨を使ってサイドからも攻める。
中々得点に結びつかなかったがついに後半20分


ピー!!


審判のホイッスル。
ペナルティーエリアで嘉人が転ばされたのだ。
DFを引き付けるあのドリブル。
パレスチナの選手はファールという手しかなかったようだ。
ようやく手に入れたPKという名の得点チャンス。
勿論蹴るのは嘉人。
これが決まれば確実に流れは日本に向くだろう。
ボールを設置した後嘉人はチラッとを見た。

ちゃん…絶対ぇやめさせねえから。」

そう呟きながらもと目が合うと高まってくる鼓動。
その音は観衆の声すら何も聞こえない程。

「やべっ何でこんな時に緊張なんか…!!」

PKなんかいつも練習しているじゃないか。
さっと入れれば良いだけの事。
でももし外したら?
が自分の側からいなくなってしまう。
しかもそれは自分の所為で。
暗い思考の悪循環。
その時無情にも笛の音が。


「あっ…!!」


一瞬場内が静まり返った。
やはり冷静になれなかったのだろう。
嘉人の放ったボールはゴールより左へ。
ひざまずく嘉人。

「嘘だろ…」

昇平が口を半開きにする。
しかし後ろからバシッと光が背中を叩いた。

「昇平早く戻れ!カウンター来るぞ!!」

茫然とする昇平を覚醒させもとのポジションに戻る。
そしてパレスチナの攻撃をパスカットする。
いつでも冷静な光の存在は本当に貴重だった。
そして冷静な選手がピッチにもう一人。

「ネモさん俺、俺…!!」

「嘉人の武器は違うだろ!?PK外したなら
その分お前のドリブルで借り返せば良いんだよ。」

コツンと握った拳を軽く嘉人の頭にぶつける裕一。
光のパスは和幸に渡りそしてまた嘉人へ。

「今度は頼んだから!!」

足元にボールが渡った瞬間嘉人の目の色が変わった。
この試合の中で最高のドリブルでの中央突破。
どんどんと選手を置き去りにしていく。
勿論自分で決めると思っていたパレスチナのDFは一斉に嘉人の下へ。
しかし嘉人は笑った。


「こっちも頭使ってんだよ、馬ー鹿。」


日本代表ですら分からなかった。
嘉人の蹴ったボールはゴールへ行くのではなく
右サイドで完全フリーになっている達也へ。
そして達也も右足で綺麗にゴール左隅へ。



―――――――ル!!!!!!!





「ははっ、やっぱ嘉人はエースだよ。」


貴矢のどうして良いか分からないような表情。
このゴール。
嘉人がPKを外した1分後の事だった。



流れは日本に。





おまたせしましたー!!
2・3ヶ月ぶりの更新です(><)
遅くなってすみません!!
今回は大久保君に着目★
でもたっちゃんのゴールも凄いですから!!


 

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