-Step- 3



「で、最初何処行くんだ?」


6人で車に乗り込む。
車道に出て運転席の光が聞いた。
選手達の視線は一気にへ。

「さっきちゃん食べ物お勧めとか言うたよな?」

「そうですけど…皆さん食べたばっかりですよね。」

隣の大輔の質問には困ったという風に答える。

「いや、それは大丈夫。」

「俺もまだ腹6分目くらいかな〜。」

後ろの席から勇樹と啓太が平然と言う。
1・2時間ほど前にあれだけの焼肉をたいらげたというのに。
若者の胃という物なのだろうか。
結局まとめるのは助手席の和幸。


「じゃあ市場に決定!!」






「凄っげぇ人込み・・・」


30分程車を走らせ市場に着く。
活気溢れる店の連続に啓太がしんどそうに言った。
逆に楽しそうなのは大輔と和幸。

「なぁカズ、あそこの店めっちゃ美味そうな匂いしてへん!?」

「こっちも!!何処にしよう何処にしよう・・・」

「あ、もう少し先にラーメン屋さんみたいなのがあるんです。
日本とは味全然違うんですけど、結構いけますよ?」

遠くを指差しも便乗。
大輔はの手を掴んだ。

「ホンマ!?ちゃん早ぅ行こうや!!」

「はい!!」

一足先に雑踏に入っていく。
舌打ちする勇樹。

「大輔の奴ちゃっかりちゃんの手・・・」

「故意にやってる訳じゃないだろ。」

「いーや、明らかにあいつ狙ってやってる。」

呆れる光に勇樹は反論。
そして残りのメンバーも2人に続いて中に進んで行った。


「結構あっさりしとるんやな。」


大きな鍋を覗いて大輔が言う。
頷く

「この庶民派な味付けがかなり良いんですv」

「そうなんかぁ、おし、買いやな。」

店主に金を払いそれから運良く二つ空いてる席に腰を下ろす。
しかしはすぐに立ち上がった。

「ちょっと食べたい物見つかったので行って来ますね。」

「おう、いってらー。」

はさっきラーメンを購入した隣の店へ出向く。
その姿に気付いたのは光。

「あ、ちゃん。・・・それ何?」

「ただの唐揚げです。
三田さん食べますか??」

「貰っていいの?」

「はい!!アーンして下さい。」

その言葉に大人しく口を開ける光。
しかし他のメンバーが見過ごすはずはない。

「三田ずるっ!!」

ちゃん俺も〜。」

「お2人とも熱いので気をつけて下さいねv」

スタンバる和幸と啓太。
は順々に唐揚げを食べさせていく。
3人はモグモグと噛み締めた。



「「「 うまっ!!! 」」」



各々コメントしていく。

「何か今まで食べた事ない味だな。」

「でもこのサクッふわっていうのがまた・・・」

「日本の鳥じゃ出来ないもんなのかぁ〜?」

そこでは笑顔で返す。



「それ鳥じゃなくて蛙ですよ?」



沈黙。



「「「 は!???? 」」」



余りの事に聞き返す。
はニコっとまた笑って言った。



「だからコレです☆」



また沈黙。
そしてどんどん顔が青ざめていく。
咳を繰り返す和幸。

「うわーうわー!!飲み込んじゃったし!!」

「蛙・・・」

胃のあたりを押さえ涙目の光。
意外と平気な様子なのは啓太。

「へぇ、コレが蛙の味かー。」

「食用蛙ですら日本ではあんまり見ないですしね。」

も長い韓国生活で舌が日本人離れしてきている。
そこに遅れてやってきたのは勇樹。
寄り道していたようで手にはしっかりキムチの袋。
和幸がダッシュで勇樹の元に行く。

「勇樹!!」

「ん?」

「今啓太が持ってる唐揚げ食べてみなよ!!」

「・・・いらない。何か怪しい。」

勘が鋭い。
必死の和幸に何か危険を察知したのだろう。
しかし光にバックを取られる。

「却下。道連れ決定。」

「おい、三田離せって!!」

腕を掴まれがっちり固定。
前からはニヤっと笑って啓太が近づいて来た。



「美味いよ。・・・・。」



「!!!???」



勇樹撃沈。

「悪いな、一応蛙食った仲間にしときたくて。」

「あー楽しかった。」

「さて、口直し口直し・・・」

スッキリしたと言う風に3人は別の店へと散って行く。
悔しそうな勇樹。


「くっそー・・・」








「はー満腹やな〜。」


そして更に1時間半後。
車に戻った全員の中で大輔が言う。
そうだった、コイツがまだいた。
4人が残念そうな顔を浮かべたのは言うまでも無い。
車に内蔵されている時計を見る光。

「にしても随分長居したな。」

「ヤバくね?
ハユ達いい加減起きるぞ。」

「大丈夫だって〜バレたらバレたで土産がある。」

子供でも扱う様な感じの啓太の発言。
しかしそうだなと勇樹は納得している。

「そろそろ帰る?」

「そうしましょうか!!」

「了ー解。」

和幸とに従い光はアクセルを踏む。
気分転換になるだろうと、
は光に行きとは違う道を教えた。
1時間程走った所で大輔がの肩を叩いた。

ちゃん、前の方のアレって学校?」

指差した方にも目を向ける。

「あ、ハイ。と言ってももう廃校になっちゃったんですけど。」

「どうりで校庭に誰もおらんと思ったわ。」

そこで勇樹の目が輝いた。

「三田、止めて!!」

「は?」

何事かと慌ててブレーキを踏む。
首を傾げる光。

「どうした?」

「大輔の言葉を聞いての提案なんだけど。
・・・校庭誰も使ってないって事は?」

「サッカー出来るな〜。」

「ビンゴ!!」

的を得た啓太の回答に勇樹は笑顔。
良い食後の運動にもなるだろう。
光も運転を再開しハンドルを右へきった。






「ボロいけどゴールネットあるやん。」


グランドに降りて大輔が言う。
和幸はトランクから常置されているサッカーボールを持ってきた。

ちゃん入れてPK練習とかかな?」

「え!?あたしサッカーなんて出来ませんよ!!」

慌てて首を横に振る
しかし良いからと背中を押される。

「遊ぶだけだからさ。」

「あー黒河連れてくれば良かったな。」

「いいよ、俺がGKやる。」

名乗りでるのは光。


「じゃあ行くぞー。」








「ただい・・・ん!!」


大声で帰宅を告げようとする啓太の口を慌てて勇樹が塞ぐ。
午後7時。
サッカーの事になると時間を忘れ、
気が付けばあれから3時間程経っていた。

「静かにっ!!
もしまだ寝てたらバレなくて済むんだからな?」

「・・・さすがに起きてるだろ。」

その2人の前を横切り光がドアを開ける。



「「お帰りなさーい。」」



明らかに不機嫌そうな顔。
隼磨と達也の通称田中兄弟だ。
何と嘉人はまだ爆睡中。
和幸が焦りながら聞く。

「いっいつ頃から起きてた?」

「一時間ぐらい前です。
ってか皆で何処行ってたんですかぁー?」

達也の質問に全員で目を逸らす。

「皆さんサッカーの練習してたんですよ!!」

そこで的確な事をが言った。
便乗する勇樹。

「そうそう!!近くに良い場所見つけてさー。」

「・・・勇樹さん。」

「ん?」

「じゃあソレ何ですかね?」

隼磨が指差した先には
勇樹が買い啓太が土産と言った例のキムチが。
もう誤魔化せない。

「ひっでー!!俺ら置いて外出スか!!」

ちゃん独占なんか卑怯じゃないですかぁ!!!」

予想通りギャーギャー喚かれる。
キレる大輔。

「うっさいわ!!寝てんのが悪いんやろ!!??」

「起こせば良いだけの話でしょうが!!!」

「自分の事棚に上げて最悪ですよぉー。」


「こんのクソガキっ・・・シバクぞコラァ!!!!!!」


大輔と2人の格闘は続く。
残りのメンバーは嘉人の周りへ。

「・・・これだけ騒いでも起きないのか。」

「ある意味凄い特技なのかもね。」

光の呟きに苦笑する和幸。

「何か俺も眠くなってきた〜。」

「俺は汗かいたから着替えてこようかな。」

啓太と勇樹は各自の部屋へ戻る。



「ムニャ・・・ちゃぁーん・・・」



安らかな顔で寝言。
今日一番平和だったのは嘉人かもしれない。
はそんな事を考えるのだった。




・・・今回無駄に長っ!!(笑)
そろそろ他のU-21も出したいです。


 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送