-Step- 7



「さて、飯も食ったし練習かー。」


朝食を終えジャージを身に付け
啓太が背伸びして言う。
時間は9時半。
丁度10時からの練習に間に合うといった所だろう。
出かけようとする選手達を玄関まで見送りに出る

「あの、帰りって何時位ですか?」

「んーと8時位かなぁ。」

「分かりました!!
それまでに夕食作っておきますねv」

少し考えて答える達也には笑顔で返す。
ドアを開け外に出る選手達。
最後になった和幸が自分のリュックを指差す。

「あ、ちゃんコレ有難う!!」

「いえ、そんなの全然。
気をつけて頑張って来て下さい!!」

「うん、いってきます。」

そしてドアを閉める。
コレとは選手達に頼まれ朝の残り物で
が慌てて作ったお弁当。
どうあっても以外の者の料理は食べないらしい。
は笑顔で手を振ると部屋の方に戻っていった。


「あ、洗濯終わってるかも・・・」








「おー何か久々の再会?」


U-21代表練習場。
軽いストレッチを始めた勇樹に話しかけるのは昇平。

「そうだっけ?
昨日夕飯ん時いただろ。」

「何言ってんだよ。
マッハで帰ったくせに。」

「あ。」

そう言われれば。
余りの味の濃さや不味さに早々
の元へ撤収したのを思い出す。
首を傾げる昇平。

「何かあったのか?」

「ん?別に。
すぐ食べ終わっただけだし。」

笑顔で返すとふーんと昇平は前屈をやり始める。
勇樹はホッと一安心。
誤魔化しの上手さでは右に出るものはそうそういないだろう。
隣で話を聞いていた光はクスクスと笑う。

「ん?何?」

「いや、そうまでしてちゃんの事
他の奴に知られたくないのかって思って。」

「当然。悟志なんかにバレてみろよ。
即行アタックとかされそうだし。危険だ危険。」

「まぁそれは分かる気がするけど。」

「だろ?」

その時コーチから紅白戦開始の声。
勇樹と光は話をやめ監督の元へ歩いて行った。








「あー疲れた!!」


午前の練習終了後。
真っ赤なゼッケンを脱いで嘉人がピッチの端に腰を下ろす。
その隣には黒いリュックを持った大輔が。

「やっと飯やな。
これの為に試合頑張ったと言っても過言やあらへん。」

そう言って布に包まれた特製お弁当を取り出す。

「うわ、大輔それかなり美味そうじゃん!!」

「あ、マエ見んなや。やらんで?」

中身を覗きこむ前田遼一から弁当を遠ざける大輔。
ケチーと遼一は不貞腐れ気味。

「ハユもってか皆そっちの部屋は弁当持参だな。」

「俺らの力の源ッスから!!
ネモさんも部屋運悪いですね〜。」

苦笑する根元裕一を余所に
幸せそうに隼磨はソーセージを頬張る。
そこで直宏が笑顔で一言。

「な、それももしかしてちゃんの手作り?」

いきなりの質問に両サイドの達也と啓太の
浦和コンビは同時に口に含んでいた物を吐きそうになる。

「なっナオさん何でちゃんの事知ってるんですかぁ!??」

「あ、聞いてない?
今日の朝悟志とランニングしてる時会ったんだよ。」

「げ、悟志も〜?」

勇樹同様の考えが頭にある啓太は明らかに嫌そう。
支給されたお弁当を口に運びながら直宏は頷く。

「うん。でも凄く可愛くて良い子だよな。
俺もはっきり言ってケータ達羨ましいもん。」


「だよなー。タケも隠したくなるはずだよな。」


その言葉に達也の横にいた剛の背筋が凍る。
背後には明らかに悟志と思われる人物の影が。

「ごっごごゴンさん・・・」

ガシッと肩を掴まれ剛は冷や汗。

「何で教えてくれなかったのかな?」

「それはその・・・あの・・・っ」

「悟志、あんまり意地悪するなよ。」

朝言っていた通り苦笑して直宏が仲裁に入る。
啓太の隣の和幸も便乗。

「そうだよ。タケが何も言わないの
勇樹やケータが口止めした所為だし。」

「ナオさんカズさん…」

穏やか組のフォローに剛は感動中。
何でタケの味方ばっかりするんだよと
多少悟志は拗ね気味だがやがて達也の弁当奪取。

「あ、ゴンさん何するんですかぁ!!」

「すごっ、美味っ!!何コレ!?」

「くっ…届かないぃ〜…」

立ち上がって食べ続ける悟志。
身長差的に取り返すのはもはや無理。
直宏も興味津々の様子。

ちゃんやっぱ料理も上手いんだ。
カズ、俺も一口貰って良いかな?」

「あ、勿論。かなりお勧めだよ。」

「・・・ホントだ!!美味過ぎ。
今まで食べてたの何って感じだよ。」

期待通りの直宏の反応に和幸も満足そう。
そんなやり取りを見ている嘉人と隼磨は不機嫌。

「ハユ、何かちゃん広まってってね?」

「広まってってますよ。
・・・俺のなのに。」

「誰がお前のやねん。」

隼磨の頭を大輔が箸でつつく。
そしてまたギャーギャー乱闘。





「…いつも騒がしい連中だよな。」

「あぁ、ネモがいると何かホッとするよ。」


少し距離を置いたように第3者の視点で
それを見つめる似たもの同士の裕一と光。

「俺らは普通に弁当食べような。」

「こんなんで無駄な体力使いたくないしな。」



何処までもクールな二人なのでした。




主人公出番少なっ!!(爆)
今回は磐田の前田君やC大阪根本さん出してみました。
いずれ駒野君や那須君とかも出したいですv


 

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