-Step- 8


「おーしダッシュ!!」


午後の練習を始めたU-21代表。
ジャージ姿の山本昌邦監督の声に合わせ
選手達は全力疾走する。
その様子をベンチに座って見ているのは
勇樹と遼一。

「あー…俺も走りてぇ。」

「阿部っちはいいよな。
ただ念のため休養しとるだけだから。」

怪我で戦線離脱を余儀なくされている
遼一が同じくほぼ治りかけだがいきなりの
ハードな練習を止められている勇樹に言う。

「マエはまだ良いよ。
俺なんか怪我に泣かされ続けて
殆ど試合出てないんだぜ?」

「そうだな。
勇樹も色々あるんだもんな。」

「「はぁ・・・」」

二人してどんより。
その時急に勇樹が立ち上がる。

「あのさ、俺帰るわ。」

「は!?何だよ急に??」

「俺らのトレーニングもう終わっただろ?
マエ、頼む、怪我が悪化したとか適当に理由つけといて!!」

「ちょ、勇樹!??」

1人取り残される遼一は茫然。
そこで休憩を挟んだ選手達が戻ってくる。
異変に最初に気付くのは直宏。

「あれ、阿部ちゃんは?」

「よく分かんねえけど体調悪い・・・らしくて帰ったわ。」

「そうなの?心配だなぁ…」

「ここだとコンディション整えるの難いし…
ちゃん何か元気になる奴作っててくれると良いんだけど。」

優しい直宏に続いて和幸も言う。
そこで現れるのは勿論悟志。

「あ、今日俺らそっち行っても良い?
ナオと俺だけだからさ。」

「「ナオは良いけど悟志は駄目。」」

啓太と嘉人が声を合わせて返す。
この様子に吹き出す光。

「別に良いだろ。
減るもんじゃないし。」

「減るんだよ、色々。」

「ってか何でナオがよくて俺は駄目なんだよ!?」

「人徳やな。」

大輔の一言に何故か納得してしまう面々。

「ったく失礼な!!
俺今日絶対行くから!!」

誰が何と言おうとも。
だったら最初から尋ねるなよと光は思ってしまう。
そんな横でボーっとグランドを見つめるのは裕一と昇平。

「あいつら元気過ぎ…」

「同感。俺らと一個しか変わんねえのにな。」

視線の先には何故か鬼ごっこをしている
達也・隼磨・剛仲良し20歳三人組の姿が。
しかし鬼ごっこと見せかけて実際はこうだった。

「ハユ・達也ずるいよ!!」

「何がぁ?」

さんと同じ部屋で寝てるなんて聞いてないし!!」

「言ってないもん。ってか俺らまだ寝てねえよ。
邪魔されてさ。な、達也?」

「そうそう。
でも今日こそは一緒に寝れるはずだよねぇ!!」

「そーれーがずるいんだってば!!」

きゃっきゃとはしゃぐ田中兄弟に剛はむかっ。
それでずっと追い掛け回しているという訳だ。
その時練習再開の笛が。
遼一以外の全員がピッチの上に集合する。
水を一飲みし、勇樹の事を思い出す遼一。


「早く帰ってする事なんかないよなぁ…?」









ちゃん、ただいー・・・」


する事はある。
数少ないとの二人きりの時間を楽しもうというのだ。
しかし部屋に入った勇樹は瞬間がっくり。
ことことシチューを煮ている音を聞き、
料理をしているかと思えば、
煮込み時間中はソファでぐっすり。

「寝てるよオイ。」

「ん…」

寝返りを打った所為での顔が勇樹の正面に現れた。

「寝顔も可愛いんだよなぁ。」

男の中でもそこそこ長いと思われる
勇樹の睫毛を軽く凌いでいる。
顔を見つめるだけで胸が高鳴る。

「やべ、何だよ俺・・・」

に音が聞こえてしまうのではないかという程。
ジャージの上から心臓を押さえる勇樹。

ちゃん、シチュー吹き零れるよ?」

声を掛けてみるが反応は無し。
軽く肩を揺すってみてもやはり結果は同じ。
もう一度の顔を覗いてみる。
黙って見ていると吸い込まれそうだ。

「あのねぇ、俺にも限界ってもんがあるんだけど。」




「俺…ちゃんと起こしたからな?」




にそっと口付ける。
唇を離してもは寝たまま。
勇樹は立ち上がると自分の部屋に戻った。
ベットにどさっと横になる。
キスした後の鼓動は最初とは比べ物にならない。
勇樹はようやく自覚し始めていた。


「本気で俺ちゃんの事…」





はい、急展ー開!!!!!!!
いい加減そろそろ(新年だし)
甘さも加えようかなという感じで阿部っち始動させてみましたv


 

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